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JIS Q 9100(AS9000)品質マネジメントシステム−航空宇宙−要求事項
AS 9100とは?
 AS 9100 は、「航空宇宙産業向け品質マネジメント」規格です。AS9100は、ISO9001の重要な要求事項をもとに、民間航空から人工衛星まで、航空宇宙産業の複雑で特殊な要求に対応できるように作成されています。
 これまで、航空宇宙産業では、顧客ごとに異なる品質要求事項や、さまざまな規格を遵守する必要がありました。しかし、AS9000が定められたことにより、航空宇宙産業全体で認められているAS9100規格を遵守すればよいことになりました。
 この規格は、装置の設計製造、空港や航空会社の運営(航空業務、貨物取扱)、航空機備品供給、部品の供給とメンテナンスなど、あらゆる分野に適用できます。そのため、工作機械・器具関連の中小企業が取引領域拡大を目的として、取り組んでおられます。
 この規格は、下記の目的のため作成されました。
@ 顧客満足(安心感)を引き上げる
A 継続的に品質を改善する
B サプライチェーン全体の不具合を削減する
C 審査、要求事項と文書化にかける時間を最小化する
 これから、新しい取引先の開拓を目指す企業、海外進出を目指す企業、すでに航空機産業や航空宇宙産業に、部品やサービスを供給しておられる中堅・中小企業にとって、AS9000は、ますます重要になっています。
AS 9100における主要な追加要求事項
 AS9000(たとえばJIS Q 9100:2004規格)は、JIS Q 9001:2000に、航空宇宙関連に必要な次の要求事項を 、加筆追加したものとなっています。したがって、以下の9項目以外は、JIS Q 9001と同じです。
 この追加的要求事項は、それほど難しいものではありません。また、コスト的にも、中堅・中小企業が取り組める内容となっております。
1. キー特性についての要求事項
2. 形態管理についての要求事項
3. 初回製品検査についての要求事項
4. 承認事項の変更の対する監督官庁への報告、連絡についての要求事項
5. 設計・開発の検証及び妥当性確認の文書化及び試験項目についての要求事項
6. 製造に関する文書化・変更管理・設備、工具及びNCプログラム管理についての要求事項
7. 製造に関する組織の施設外で一時的に行う作業の管理についての要求事項
8. 付帯サービスの管理についての要求事項
9. 検査文書についての要求事項
形態管理(構成管理)
 AS9000では形態管理が求められています。形態管理は、JIS Q 9100:2004規格の4.2項の「文書化に関する要求事項」において以下のように規定されています。
4.3 形態管理
組織は,その製品に適した形態管理手順を確立し,文書に定め,維持すること。
参考 形態管理の指針は,ISO 10007 に示されている。
 ISO10007 「品質マネジメントシステム−構成管理の指針」では、次のように構成管理を定義しています。
「構成管理とは,製品の構成を文書化するものである。構成管理は,ライフサイクルの全段階で,識別及びトレーサビリティ,その物理的及び機能的要求事項の達成状況並びに正確な情報へのアクセスをもたらす。構成管理は,組織の規模並びに,製品の複雑さ及び性質に基いて実施できる。構成管理は,ISO9001 に規定されている製品識別及びトレーサビリティ要求事項を満たすために使用することができる。」
 航空機のように何万点もの部品から組み立てられる製品では、製品や工程や機器を設計開発し、製造し、市場に提供するプロセスの中に、各種の検査、試験、実験があります。

 それらの検査、試験・実験の結果によって、製品、システム・機器の仕様が修正されます。仕様が変化する製品・工程・機器の構成管理では、「要求仕様の設定からライフサイクルの全段階において、生産システムから部品・用役までの各領域で、それらの特性を明確に把握し管理すること」が、求められています。

 そのために、以下の3つの機能を管理することがポイントとなります。
@ 構成管理品目の機能的、物理的な特性を仕様書、図面、管理台帳、部品表などに文書化し、識別番号を付与し、区別できるようにしておく(識別機能)
A 上記特性の変更について管理すること(変更管理機能)
B 変更の処理を含めての現時点における構成管理の記録を整理し、関係者に定期的に報告すること(記録報告機能)
 記録が正しく行われたかどうかチェックし、誤りを是正することも、構成管理に含まれます。
 以上のような構成管理に関する手順について、組織の「品質マニュアル」または、下位文書の規定類などに文書化することが要求されています。
 文書化の程度は、組織の規模、製品の複雑さや性質に応じて対応すれば十分です。 大掛かりな文書体系をつくる必要はありません。ここでも、『超小型ISO』のノウハウが生きてきます。
AS9001の導入手順
(1) 審査機関の決定
 AS9000を審査できる審査機関は、現在のところ数が限られています。また、審査できても、審査員は外国人であったりします。
 通訳は、通常、審査機関がつけてくれますが、日本語が通じないために、不便なことが発生する可能性があります。
 したがって、審査を受ける際には、最初に審査機関を選定して、審査について、審査機関とよく相談することが大切です。
(2) 必要な文書を収集する
@ 4.2 文書化に関する要求事項で規定された「f) 監督官庁によって課せられた品質マネジメントシステムに関する要求事項」
A 新規開拓を目指す企業は、顧客の要求事項(仕様書)を検討する必要があります。
(3) 顧客要求事項の検討
@ 現在の生産システムで、監督官庁や顧客要求事項を満たすことができるかどうか。
A 要求事項を満たすところまで、マネジメントシステムを改善する必要があります。
(4) AS9000規格要求事項の検討とシステムの整備
@ ISO9001にない追加要求事項に対するシステムの追加
A とくに、「監督官庁によって課せられた品質マネジメントシステムに関する要求事項」に留意して構築する
B 「監督官庁によって課せられた品質マネジメントシステムに関する要求事項」に示されていないものについては、社内で検討する。
(5) 既存のISO9001との整合性の検討
@ AS9000の追加的要求事項に対して、既存のシステムは整合的か検討する
A 整合的でない場合は修正する
(6) 必要な部署への教育訓練
@ マネジメントシステムの改善点を現場で指導する
A 新しいマニュアル・様式の使い方を指導する
(7) 運用と内部監査
@ 内部監査チェックリストの作成(修正)
A 内部監査員の養成
B 内部監査実施
C 不適合の是正
D マネジメントレビュー
(8) 審査を受ける
@ 審査工数や日程は、審査機関によって異なります。
A 審査基準について、事前に相談するのが得策です。
AS9001認証取得マスタースケジュール
 以上を考慮して、AS9000認証取得までのスケジュールをつくると、次のようになります。
段階 研修名 研修内容 成果物
1 ヒアリング AS9000の要求事項と現場活動を比較して、品質システムの整備の概要を把握する ヒアリングシート
整備のポイント
2 システム構築 AS9000の要求事項を達成するために必要なシステムを整備する(たとえば、抜取検査のJIS基準への適合性) システム設計
3 管理手順 AS9000の要求事項を満たすために、QC工程表または手順書を作成する QC工程表
または手順書
4 記録様式作成 記録様式を作成する 記録様式
5 品質マニュアル作成 AS9000に対応する品質マニュアルを作成する 品質マニュアル
6 現場教育(1) 現場作業者にシステムの変更点を周知する 作業変更点の確認
記録様式の使い方
7 運用 AS9000を運用した結果を記録に残す。様式に不備があれば修正する 活動の記録
8 内部監査(第1回) 内部監査チェックリストを作成し、内部監査の計画を立てる 内部監査チェックリスト
内部監査計画書
9 内部監査(第2回) 内部監査を実施し、結果を報告し、マネジメントレビューを行う 内部監査報告書
マネジメントレビュー
10 審査 審査立会い 審査合格
11 現場教育(2) 現場作業者にシステムの変更点を周知する 作業変更点の確認
記録様式の使い方
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